おはようございます。
web3リサーチャーの三井です。
今日は「OpenSea Pro」についてリサーチしました。
«目次»
1、OpenSea Pro とは?
- 機能
- リリースキャンペーン
- ロードマップ
2、コミュニティを向いた競争が繰り広げられている
OpenSea Pro とは?
「OpenSea Pro」は、世界最大のNFTマーケットプレイス「OpenSea」がプロトレーダー向けにリリースしたより高度な取引ができるNFTマーケットプレイスです。
これは競合であり急成長を続けるNFTマーケットプレイスBlurに対抗する動きと言えます。
ただ、Blurの躍進を見て開発したのではなく、それ以前から開発は進めていたと考えられます。というのも、OpenSeaは昨年2022年4月に大手NFTマーケットプレイスアグリゲーターである「Gem」を買収しました。その頃からプロトレーダー向けのサービスの共同開発に着手しており、買収から1年経ち、OpenSeaブランドに統一され、「OpenSea Pro」としてリリースされました。
■機能
OpenSea Proは、Gemの設計に基づいて、コレクターが170 のマーケットプレイスを横断した最高の取引ができるツールです。
マーケットプレイスを横断したリアルタイムデータの閲覧
価格設定、購入量、特性など複雑な条件に基づいた高度な注文が可能
強力なウォレットの在庫管理、市場を見ながらウォレットアイテムの販売を管理
マーケットプレイスを横断して最安値を検索し購入可能
最も最適化されたガス料金
モバイル互換性
etc…
■リリースキャンペーン
NFTのフリーミント
過去に一度でもGemを利用したことがある人へ向けて「Gemesis NFT」をフリーミントしています。5月4日まで請求が可能です。OpenSea Proの取引手数料を0%に
NFTの取引における取引手数料を0%にします。また、それに伴い期間限定で0%に下げていたOpenSea自体の取引手数料は2.5%に戻すとのことです。
■ロードマップ
今後もNFTエコシステムを1億人に拡大するために積極的な投資を続けていきます。
ターゲットを2つに分け、マス向けのOpenSeaとコアトレーダー向けのOpenSea Proでそれぞれを拡大していくとのことです。
OpenSea:手数料2.5%。NFTの発見性の改善、オンボーディングの簡素化、支払いオプションの増加、クリエーターツール (Drops を含む)の拡大。
OpenSea Pro:(期間限定)手数料0%。プロトレーダー向けの機能を拡充。
また、コミュニティへのNFT還元も考えているとのことなので、もしかしたら一定期間中のOpenSea Proを利用してくれた人に何かしらのNFTを配布するのかもしれません。詳細を待ちたいと思います。
コミュニティを向いた競争が繰り広げられている
今回のOpenSea ProはBlurに対抗するためにリリースされた機能だと考えられます。
Blurの場合は細かいマーケティング戦略の成功もありますが、NFT市場においてプロトレーダー向けのサービスが需要があることを知らしめた事例となりました。
つまり、NFT市場の取引ボリュームの大半は少数の大型トレーダーによってもたらされていたことを証明したことになります。ユーザー数も大切ですが、大口顧客をいかに捕まえ続けることができるかで、NFTマーケットプレイスの運命が決まります。
大口顧客を捉える→NFTの取引ボリュームが増える→NFTプロジェクトは購入してくれるマーケットプレイスを宣伝する→一般ユーザーもそっちに流れる
こういう順番でOpenSeaからBlurにユーザーが流れていきました。
なので、OpenSeaとしても対抗しないわけにはいきません。遂にOpenSea Proがリリースされ、Blurと全く同じような機能、そして0%の手数料としました。
この戦いの考察は長くなるので、また別の記事で書くとして、ここではweb3業界の競争について少し書いてみようと思います。
web3業界に関わらず、どの業界でもその市場が盛り上がれば必ず競争が発生します。その競争によって適切な価格に落ち着き、ユーザーメリットは向上し続けます。
なので、ユーザー目線で見たときに競争が行われるのは非常に良いことだと感じますが、多くの企業は競争に完全に勝利し圧倒的なシェア1位になった時にマネタイズを優先します。
企業側からすれば当たり前の戦略なので、それ自体を責めることはありませんが、勝手なユーザー目線だけを追求するのであれば常に競争環境があった方がサービスの改善スピードが早いはずです。
この事態が良いか悪いかはまだわかりませんが、web3市場は常に競争が生まれ続ける市場な予感がしています。まずデータの主権がプラットフォーム側にないことが多いので、競合優位性を築きづらいです。OpenSeaが圧倒的なシェアNo.1だったところにBlurが颯爽と登場してシェアを奪っていった事例を見ればよくわかります。
もちろん、OpenSeaがシェアNo.1だったとはいえ、NFT市場自体がそこまで大きくないので、これがOpenSeaに10億ユーザーがいる状態のシェアNo.1だったら話は違ったかもしれません。
ただ、今までと比較して競合優位性を築くことが難しいのは事実であり、競争が激しくなりやすい市場であることも予想されます。
そして何より、web3市場はコミュニティを大切にするカルチャーがあるので、ユーザー目線で見れば、常にコミュニティの方を向いた競争が繰り広げられることになります。
自ら複数のツールを理解して使うこなすことは難しいかもしれませんが、逆にそれさえすればかなりお得にサービスが利用できる状況が続いていくのかもしれません。
そう考えると、AIを使いこなせるかもそうですが、web3業界も情報収集とツールの使いこなしによって大きな差が生まれる業界とも言えます。この先の必須スキルはそういった情報収集とツールを使いこなす力なのかもしれません。
以上、「OpenSea Pro」のリサーチでした。記事が参考になった方はいいねやコメント、SNSでの拡散にご協力いただけると幸いです!
«参考リンク»
・公式サイト:https://pro.opensea.io/
・公式ブログ:https://opensea.io/blog/articles/opensea-pro
免責事項:リサーチした情報を精査して書いていますが、個人運営&ソースが英語の部分も多いので、意訳したり、一部誤った情報がある場合があります。ご了承ください。また、記事中にDapps、NFT、トークンを紹介することがありますが、勧誘目的は一切ありません。全て自己責任で購入、ご利用ください。
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